これが潜水艦だ―海上自衛隊の最強兵器の本質と現実 (光人社ノンフィクション文庫 571)
本屋に立ち寄った時に衝動買いしてしまった… もうほとんど金ないのに(汗
中村秀樹という方が書かれた本なのですが、この人の本は文庫サイズで潜水艦について書いている唯一(いや他にもあるのでしょうが見たことはないんです)の本なので、3冊全部持っています。いずれ残りの2冊のレビューも書く予定です。
3作目のこの本は、海上自衛隊の潜水艦を中心に通常動力潜水艦の実態(潜水艦での日常みたいな感じ)を書いておられます。特に驚いたのが"航空機が潜水艦の直上を通過して位置を確認してから訓練開始である。(中略)とまかく、この会合が簡単ではない。(中略)無線でこっちこっちと教えてやるのだが、なかなか見つけてくれない。"という部分。そんなに潜水艦って探知しづらいのか… スノーケルを出した状態(P-3Cのレーダーで潜水艦を探知する)でこの状況、潜水した潜水艦の探知はさらに難しいんでしょうねぇ。著者いわく世界一の能力を持つ海自の対潜哨戒機でこのような状態だそうです。護衛艦のソーナー追尾は対潜哨戒機よりさらに振り切りやすいそうで。僕としては大戦略の対潜活動でも大変な戦いなのですが、大戦略での対潜活動って現実と比べればまだ楽なほうだったんですね。
さらに、ありがたいことに潜水艦乗りの立場から考えた対潜護衛の方法ものっています。要約すると、潜水艦は水上艦より遅いから全速力で突っ走れ&潜水艦を護衛目標から遠ざけろ、ついでに潜水艦の撃沈は望むなと、そんな感じでした。これを書いた2008年7月は、Color World(PF3.0)で潜水艦の恐怖を味わったばかりで、対潜活動の方法を模索している状況でしたので、結構参考になりました。
ちなみに、潜水艦以外のことも多少は書かれており、海上自衛隊の問題点と海上自衛隊で印象深かったエピソードなども最後のほうにあります。
読んだ時期が見事に潜水艦についていろいろと考えていた時期でもあり、なかなか興味深い内容でした。潜水艦の強さと鬱陶しさの再確認もできました。潜水艦はかなり特殊なのに目立たないからかこれを扱った本って少ないんですよね、潜水艦の特徴を実体験から分かりやすく教えてくれるこの人の本は貴重です。次回作にも期待してます! ミリタリー選書でも潜水艦を扱ったのがようやくでましたけどあれより安いんでお買い得です。